著者リスト: 高久 諒太, Hanany Shaul, 今田大皓, 石野宏和, 片山伸彦, 小松国幹, 小西邦昭, 五神真, 松村知岳, 満田和久, 櫻井治之, 桜井雄基, Wen Qi, 山崎典子, Young Karl, 湯本潤司
投稿先: Journal of Applied Physics 128, 225302 (2020) (JAP, arXiv)
概要: サファイアに対しフェムト秒という時間まで絞られたパルスレーザーを何万発も放ち、ミリ波(43 ~ 161 GHz)の帯域116%において平均透過率97%を得る反射防止構造を作製した。構造の大きさは深さ2 mm, 幅0.54 mmであり、難加工素材であるサファイアへ高アスペクト比(縦横比)でかつ深い構造を加工する技術を確立させた。加工方法の改善によって加工効率(Volume ablation rate)1.6 mm3/minを達成し、開発初期と比較しておよそ20倍の加工時間減少に繋げた。また同論文では加工形状の異方性から現れる透過光の異方性を低減する手法も説明している。この成果はこれまで宇宙マイクロ波背景放射の偏光観測という分野では完全に発展途上であったレーザー加工技術を、実際の望遠鏡へ実用可能なレベルまで引き上げるきっかけとなった。